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渡辺 正二君を送る | R3.4.29 谷口 日出男 |
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先日新聞記事で「がん患者 10年生存率59.4%」の見出しの記事を見る。 胃とか肺とかのがん患者がそれぞれのステージ1〜4ごとに、罹患後10年間でどのくらいの割合で生きていけたかという国立がんセンターの調査結果である。 それによると罹患する部位およびステージごとに生存率は勿論異なるが肝臓とか膵臓の生存率の低さには驚かされた。またステージWになるとその生存率はひとけた台になっていく。日本人の最大死亡原因であるがんに関する情報である。 妻も乳がんで手術後2年経過であり、こんな情報にも自然と目が行く。そんな思いの時に、42HPで渡辺正二君の訃報を知った。肺がんだったそうだ。
なんでも彼は、大学時代に空手をやってたとか背筋がいつもビシッと決まっており、意思も強くぶっとい針金みたいな漢だった。 話しぶりも男らしくさばさばと野太い声でリーダーシップを発揮していた。 とても俺の思っているようなU出身とは思えない迫力があった。 その後もほとんど付き合いもなく年賀状のやり取りもなく自衛官の現役時代は終わった。 そして平成29年の4月、市ヶ谷での42期同窓会に出席した際に何十年振りかで再会したのである。 相変わらずの迫力だった。 彼がその時がんを患いしかもステージWだと聞いたが何のがんだったかは聞き漏らした。 そんな彼が俺にしつっこくがん検査を受けるよう勧めてくれたのである。 そんな体験を以前「ポリープがありますね・・・」というテーマで42HPに投稿したことがある。 その時の序文と末項に彼のことを書いた。 序文では彼から検査を勧められてことを書いている。 「春四月、東京での同窓会で逢った朋の言葉が甦る。 "谷口!そりゃー絶対受けといた方がいいぞ、いやっ、お前も年寄りの冷や水でまだ走り回ってるようだけど、もう歳なんだからどっかにガタが来てるぞ、受けろよ! 俺もまさか自分がと思って十年近くもなんにも受けてなかったもんなぁ、たまたま受けた検査で判ったんだ" それこそ四十年来の再会である朋から、お互いの健康問題を話している時に強く念を押された。 相変わらずの生気溢れる話しぶりである。こんな元気な彼が今は何とかガンのステージWと診断され、余命2,3年と宣告されたそうだ。 尤も彼が言うにはその余命年数も過ぎてまだこうして生きているんだという。 えっ!ホントそうなの?と聞き直すもそうだという。嘘じゃなさそうだ。」 そして俺も彼の勧めで検査を受け、異常なかったことで彼に感謝を込めて末項には次のように書いた。 「帰りは、久し振りのシットリとした雨になった。ワイパーが縫う合間に、彼の顔が浮かんできた。 "俺、検査受けたよ!どうもありがとう!W君!"」 そうこのW君が渡辺正二君である。そうか彼は肺がんだったのか...あの時からすでに5年経っているなぁ...とすると彼の生存年数は罹患後どのくらいだったんだろうか... ほんのAOCでの半年間の付き合いしかなかったが、ずっと以前からいつも抵抗なく彼がそばにいたような気がする。 なんていうか彼は侍みたいなシャキッとした戦車マンだった。 ご冥福を祈る。 これで機甲科の同期も、作道・佐々木・山内・石川・山木・広岡そして渡辺と7人もが黄泉の国へと旅立った。 "砲手!徹甲!目標敵戦車!距離1200!うてぇー!!" なんてまだ言ってるかな... |
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