趣味三昧 | 山田 和夫 |
吹矢に夢中(5) | |||||
暫く吹矢に関する投稿が途絶えていましたが、吹矢を止めたわけではありません。 毎日の主要な日課として相変わらず楽しんでいましたが、その後あまり成績が振るわなかったので、投稿するネタがなかったのです。久し振りにその機会に恵まれたので報告します。 去る7月16日、第9回青柳杯が墨田区総合体育館で開催され、全国から3段以上の高段者が約600名参加した。 スポーツ吹矢の全国クラスの試合は2種類あって、この「青柳杯」と秋に行われる「全日本選手権」である。 4年前の第5回青柳杯に初参加して初優勝し、全日本もそれに前後して2度優勝したが、その後はパッとせず長い間スランプに陥っていた。 昨年の対外試合が終わった時点で、何とかスランプを脱しなければと反省した結果、全てを白紙に戻して習い始めのころの「自己流」に戻ってやり直すことにした。 ![]() その1は、吹矢で最も大切なことは同じところを狙い、同じ力で吹くこと。当たり前のことだが、実はこの同じ力で吹くことができていなかったようだ。 例え同じ力で吹いたとしても、腹の中の空気量が異なれば、当然出る空気量(力)も異なってくる。正に呼吸、吹くことと吸うことは表裏一体の関係にある。 初期の頃は筒を高く上げることで無意識のうちに吸入量を一定にコントロールしていた。 ある時上級者から、格好が悪いから肩の高さまでにするよう指導を受けた。どうもそのやり方が私には合っていないようで、吸入量をうまくコントロールできなくなっていた。そこで形は悪いがもとの自己流に戻して筒をやや上まで上げるようにした。 その2は、かつて好成績を挙げたことで自意識過剰になり、初心の時に感じた、試合での心地良い緊張感が強いストレスに変わってしまった。 この年にもなって恥ずかしいことだが、耳がダンボのようになって見物者の様子ばかりが気になる。気もそぞろ、的を狙うどころではなくなってしまった。座禅なども考えたが、結局は動作一つひとつに自分で意味づけをし、その動作では常にその意味を思い浮かべる、これを何度も何度も繰り返して雑念が入り込む余地をなくすように仕向けた。 こんなことで、今大会はとてもリラックスして吹くことができ、午前中の3ラウンドは105点満点で103点を取り1位通過、午後の3ラウンドは少し乱れたが合計198点をとって2名の同点1位で、上位8名による決勝トーナメントに進出できた。 そして準々決勝から決勝まで、昨年までが嘘のように緊張せずに吹くことができ、優勝した。良かった、ホッとした。 (これでまた自意識過剰にならないことが、新たな課題になった。) ![]() 公式の競技会では筒や矢など使用できる道具は協会公認のものに限られる。 選手の裁量に任されるのはわずかで、筒の太さに合うように矢を切ることと筒を立て掛ける筒立を自作できることの2つしかない。選手の皆さんは定年後で毎日が日曜日の人が多い。 他の選手の筒立を見物するのがこうした大きな競技会では楽しみの一つになっている。金属製や木製など凝った作品も多いが、私は趣味の木工を生かして簡素な筒立を作って楽しんでいる。 右側Aが使用中の状態で、柱の上部に矢10本と矢抜きを入れ、それに筒クリーナーを掛ける容器をセットし、これに筒を立て掛けている。 左側Bは、右の状態では持ち運びに不便なので、柱、脚、容器が分解できるようコンパクトにしたもの、柱は釣竿のように4本つなぎになっており、組み立てるとAのようになる。自分なりの筒立を作るのが密かな楽しみでもある。 |
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田中 征之君からのコメント | |||||
投稿記事を頂き、拝見しました。 大会優勝、おめでとうございます。 腕自慢の参加者600名のトップですからすごいことです。歩き旅の体力と言い、吹き矢の道を究める日頃の鍛錬といい頭が下がります。特に毎日鍛錬を続けていることは立派です。 山田名人でもスランプがあったようで、それを見事に解決したようですね。「初心に返って」自分を見つめなおす、そのころの純粋な気持ちを思い出して再び情熱をよみがえらせるというのはスポーツどの競技でも共通しているようですね。これが出来た人は壁を破り進歩します。 とても参考になる良い記事を頂きました。 |