42期 徒然草
おふくろの独り言 今久保 宏大
 
 また、新しい年を迎えられたことに感謝しています。

 間もなく母は、91才。年3回、1週間程度帰省するようになって20年目に入った。
 間をおいて母を見ると変化が一目瞭然である。
 同じことを繰り返し言う回数が次第に増え、門からの階段の折り方も変わってきた。

 

三嶺

 

(注)三嶺
 高知県香美市と徳島県三次市に跨る。
 この山の高知県側は、原生林が広がり、四国で最も自然が残された山と言われている。









 今回、その母が、「人間は悪いことばっかりしちゅう!」と何回も呟いた。

 小川にシジミがいなくなり、田圃にゲンゴロウ(一部の地域では食用だそうです)、タニシが見えない。
 メダカもトンボも少なくなった。
 良いと思ってしたことにも、少なからず欠点はあり、予測できない影響がでることもある。
 新施策として始まる時には、良いことを中心に説明をする。必ず限界(悪い)あるが、進んで言うことはない。
 従って、対策を採ることが出来ない。

 最近、風邪薬で亡くなる方が散見される。薬ほど複雑なものは身近にはない。
 治療に必要な薬を服用する際、そのために起こる副作用をおさえる薬を併用する。更に体調、体質も影響する。
 基準を作りがたい領域だと言える。

 われわれは新しい施策が始まると、何か起こるまで当たり前のように甘受してしまう。
 その影響がどのように出ているか全く関心がない。
 そのことは、我々が「毎日毎日が新しい、初めての一日である」ことを自覚しないで生活をしていることに似ているように思う。

 今までに手がけたことの現状を謙虚に見守り、子供達に伝えておかなければならない年代になったように思う。   

                                                         (高知県香美市 今久保)