42期 徒然草 川井 武彦
のぼーる(その1)

 24勝3敗3分け。この数字は今年、東京ドームに行った時の巨人の成績である。
 昨年は15勝13敗1分けであったから、今年の成績は凄い。ちなみに今年は、回数も勝率もこれまでの最高となった。
 
 昔から大の巨人ファンである。これまで後楽園時代も含め、こんなに観には行かなかった。
 仕事や勤務地等の関係で、はたまた懐ぐあいもあったであろう、行きたくても行けなかった、と云った方が正しいかも知れない。
 しかし仕事も終わり、年金生活者となった最近は、年間20回以上ドームに通っている。
 
 以前は神宮にも年に数回行っていたが、ここ2~3年はドームだけだ。
 たまにマリーンスタジアムに行くこともあるが今年は御無沙汰した。
 神宮もマリーンも天候に左右されるので、どちらかと云えば敬遠がちである。
 
 最近ドームへ行く回数が増えた理由の一つは、チケットの購入が容易になったこともある。
 数年前までは、ダフ屋の買い占めでチケットが手に入りにくかったが、現在は従来の窓口の他、インターネットでの事前申し込み・抽選という方法やコンビニでも買うことが出来るようになり、すごく改善されて来た。
 
 
 今年観に行った試合の中で特に印象深いと思ったのは、5/30の杉内のノーヒット・ノーラン達成、9/21のリーグ優勝決定、そして10/7の最終戦である。
 
 ノーヒット・ノーランの時は本当に興奮し感動し、そしてしびれた。
 6回頃から、ひょつとしたらパーフェクト達成では、と云う予感があった。
 7回ぐらいから、大記録達成の期待感とそれを阻止したい楽天ファンの思いが入り乱れ、球場全体がピリピリとした張りつめた感じになっていった。一球一打に歓声と拍手、そしてためいきの連続である。
 9回ツーアウトまでパーフェクト。
 27番目の打者を迎えた時は大歓声で異常なムードとなった。審判のボールの判定で四球となりパーフェクトが消えた。その瞬間の落胆とどよめき。
 その後ノーヒット・ノーランを達成した瞬間の嵐の様な大歓声。
 観客は総立ちとなり喜びを爆発し、偉業を祝福しあった。
 あの様な感動を味わったことは、長く野球を観てきて初めてのことであった。ライブの醍醐味を存分に満喫した試合であった。
 
 リーグ優勝を決め、胴上げを観たのも初めてのことだった。
 
 最終戦は矢野の劇的なサヨナラホームランでペナントが終わった。
 昨年の最終戦も長野がサヨナラホームランを打った。二年連続の最終戦サヨナラホームランと云うことも珍しいことだ。
 特に長野のホームランは、代打・逆転・サヨナラ・満塁と云う最高のホームランであり、あわせて首位打者を決定付けるホームランでもあった。
 
 9/16のドームでの阪神との最終戦も思い出に残る試合であった。
 この前に阪神の金本は今シーズン限りでの引退を表明しており、14日からの三連戦が東京で金本のユニホーム姿を見られる最後の機会であった。

 1・2戦と彼の出番はなかったが、3戦目「ライト金本」のアナウンスに球場全体が沸いた。
 彼は引退発表の時、出来ればあと一本ホームランを打ち、偉大な先輩の記録を破りたいと云っていた。
 是非、今日ここドームで、その一本を打って欲しいと思っていた。

 4回その記念すべき一本が、ライナーでライトスタンドに消えた。打った瞬間、それとわかる見事な5号2ランだった。
 その瞬間立ち上がり、手が痛く成る程拍手を贈った。

 グランドを一周する偉大な選手の最後の勇姿を目に焼き付けた。