42期 徒然草
 読書のすすめ(10) 小栁 毫向
            

皆さんは高橋和巳という作家を覚えておられるでしょうか。

私は学生時代同氏の「悲しみの器」「わが心は木石にあらず」を読み、いい本だな、この作家はすごい人だなという印象を持ったことをいまだに覚えています。



先日本屋でぶらぶらした時高橋和巳の名が目に入り思わず「おっ」と言って迷わず買い求めました。その本のタイトルは「邪宗門」(河出文庫上・下巻各1,300円)この本は昭和41年に発刊され、我々が小原台上で閉ざされた中で生活している時、世の学生諸君はこの本をバイブルのごとく熱中して読んだそうです。また東大の先生が薦める本ベスト100の中で「邪宗門」は日本の小説で第1位を占めるそうです。

各巻600ページを超える大冊で読み終わるのに1週間程かかりましたが、久しぶりに満足しました。高橋和巳はやはりすごい作家でした。ある読書好きの先輩にこの本を進めましたが「素晴らしい本だった、娘の旦那に読ませている」とのことでした。




高橋和巳は残念ながら昭和46年に39歳の若さで亡くなっています。

もし長生きして作品を書き続けていればノーベル賞も夢ではなかったのではと思います。

少なくとも大江健三郎や村上春樹よりも相当上等な質の高い本を書きます。