42期 徒然草
 読書のすすめ(11) 小栁 毫向

 新年の挨拶には少しばかり遅いのですが、全国の同期生の皆さん明けましておめでとうございます。
 戴いた年賀状の中に数名の方から、ホームページで紹介された本を読んでいるよ、との添え書きをいただきましたので今年もできるだけ投稿しようと覚悟しました。

 年末から年明けにかけて伊集院静の本を数冊読みました。

 まずは海峡3部作といわれる「海峡」「春雷」「岬へ」(新潮文庫)を紹介します。

 これは伊集院静の父親を描くとともに自らの自叙伝でもある。彼の親父は以前紹介した宮本輝が「流転の海」に始まる7部作で描いた親父と実によく似ている。
 極めて厳しい人であるが反面困った人には手を差し伸べざるを得ない義侠心に富む。伊集院はいわゆる在日といわれる韓国人であるが我々の親父の世代は日本人であろうが韓国人であろうが義侠心に富む人が多かったように思う。今は義理も人情も希薄になっているが義侠心は次に世代に申し送るべき貴重な資質なののかもしれない。

 人に聞いた話であるが伊集院の親父と宮本の親父は一度会って意気投合したそうだ、納得できる。
 


 次に「少年譜」「冬のはなびら」(文春文庫)いずれも短編集であるがこれがなかなか珠玉である。とくに「少年譜」はこのように育てればまっとうな人物に育つのだと思いいたる。
私は子供がいませんが子供さんのいる人は子供さんに、できればお孫さんにも読ませてもらいたい本です。