42期 徒然草
読書のすすめ(19) 小 栁 毫 向

 早いものですね、ついこの前新年を迎えたと思ったらもう2月です。

 さて2月11日は建国記念日ですが、なぜ2月11日を建国記念日に制定したか御存じですか。

 これは大平裕「暦で読み解く古代天皇の謎」(PHP文庫)を読めば解ります。


 古代中国は暦については正に先進国で、時代と共にさまざまな暦が制定されます。そのうちで元嘉暦が451年に、儀鳳暦が666年に我が国に伝えられますが、儀鳳暦は天体観測に基ずく極めて精緻な暦でその暦の冒頭に「総数1340」という数字が示されているそうです。この総数は太陽や月の運行の周期数と理解していいでしょう。

 天武天皇の勅命により日本書紀の編纂がはじまったのが天武10年(681年)で、その際初代天皇即位の年代を天武10年の1340年前、西暦で紀元前659年2月11日と定めたそうです。


 ちなみに天皇という称号を始めて使ったのが天武天皇で、天皇は道教の「天皇大帝」が語源で北極星いわゆる天の支配者という意味です。

 面白いのは日本書紀で天武以降は古く伝わった元嘉暦により、天武以前は新しく伝わった儀鳳暦により書かれていることです。

 暦から日本書紀の謎に迫る説得力のある本です。