42期 徒然草 | |
読書のすすめ(4) | 小栁 毫向 |
今年の本屋大賞に選ばれた和田竜作「村上海賊の娘」(新潮社)これは面白い。 昨年本屋大賞になった百田尚樹「海賊と呼ばれた男」も面白かったが、これに負けず劣らず面白い。 今NHK連続ドラマで黒田官兵衛をやっているが正にこれと同じ時期、信長は大坂本願寺攻略を進めていたが、本願寺側の抵抗激しくなかなか落とせない、ために信長は本願寺への食糧の補給を断つ作戦に出る。 陸は砦で防ぎ海からの補給路を泉州眞鍋海賊にやらせる布陣を取る。 これに対し本願寺派は毛利に10万石の食糧支援を求める。毛利は信長に敵対することを躊躇ったが最終的に本願寺支援を決し、海路食糧を運搬するため瀬戸内を牛耳る村上海賊に援軍を求める。これらの背景のもとに村上、眞鍋両海賊が戦った海戦いわゆる木津川沖の戦いがメインテーマとなった物語である。 両海賊ともその心意気や天晴れ、と言わざるを得ない。 これからは余談。 小生大阪で育ち現役時代官兵衛の舞台姫路で勤務したこともある。姫路には灘のけんか祭があり泉州(堺の南)には岸和田のだんじり祭がある。いずれも死人を出したこともある極めて荒っぽい祭りである。 ためにこの地域の人間は負けん気が強い。車の運転も荒い、信号が黄色になったらボチボチ渡れ赤になったら急いで渡れ、ルールなど屁のかっつぱ、車の保険も姫路ナンバーと泉ナンバーの地域は赤字になる。 大阪は逆立ちしても東京には勝てないがそれでも東京がなんぼのもんや、という心意気だけは持っている、とくに泉州においてそれが強い。 この物語を通じこの心意気なるものに触れて戴ければと思う。 尚 和田竜の「のぼうの城」(小学館)、「忍びの国」(新潮文庫)も面白い。 |
コメント | 田中 征之 |
前回の柔道界最強の男「木村氏」と力道山の話、その最強の人に稽古をつけてもらった話など興味深く読ませていただきましたが、今回も本屋大賞の「村上海賊の娘」の話も歴史の一断面として興味深く 思います。 小柳さんの読書力は凄いですね。私などは本を読まなくなって、TVばかりの知識で本当に お粗末な限りですが、小柳さんの記事を読んで、「村上海賊の娘」を買って読みたくなりました。 信長と大阪本願寺との確執で攻略のため食料の補給を断つ作戦に出たこと。これに双方とも瀬戸内の 海賊の力を借りたことなど全く知らなかったことばかりでした。 当時の海賊は唯の海賊にあらずでこの地域 を支配し、彼らの力を借りなければ船の航行はできなかつた、当然、海上の作戦はできなかった事は 知っていましたが、その実態は本を読まなければ分かりませんね。 大阪勤務をされたそうで、岸和田のだんじり等は「野球の清原」の育ったところとして負けん気が強く荒っぽい ことで知られていますが、勤務された姫路もそのような土地柄だったとは始めて知りました。 その点で苦労も多かったのではと思いました。
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