42期 徒然草 | |||||||||||||
読書のすすめ(5) | 小 栁 毫 向 | ||||||||||||
今回は中村彰彦さんを紹介します。 氏は歴史ものそれもあまり表舞台に出ていない人に焦点を当てた小説が多く、それだけに大変興味深いものがあります。 まずは「二つの山河」 本書は直木賞を受賞した作品。 日英同盟時代ドイツと交戦状態になったイギリスの要請を受け、我が国はドイツの租借地の青島を攻撃、4,700人を超えるドイツ人を捕虜にしこれを全国12か所の収容所に収容、このうち徳島の板東の収容所長になった会津出身の松浦豊寿中佐の物語である。 松浦中佐は武士道の精神をもって捕虜を遇しなおかつ大いなる自由を与えた。たとえば技術のあるものを地元の企業に就職させたり、収容所内に肉屋、パン屋、木工所などをやらせたり、また市民との交流も盛んにさせた。 女性にドイツ料理、パン、クッキーの作り方を教えたり、子供にはサッカーを教えさせたりしている。 ベートーベンの第九交響曲が我が国で初めて演奏されたのは捕虜によって編成された楽団によってでもある。 後に捕虜を解かれ母国に帰る際松浦所長に感謝の辞を述べ、ドイツでは各地でバンドー会なるものが結成されたそうである。 60ページ程の小品であるが感動を与えてくれる作品である。 そのほか
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