42期 徒然草
読書のすすめ(9) 小栁 毫向


 今読み終わったばかりの本を紹介します。

 「日本海軍400時間の証言」(新潮文庫750円)

 これは2009年8月NHKスペシャルで3回にわたり放映された番組をその内容、取材の細部及びいかなる考えで番組を造り上げたかを紹介した本です。
 旧海軍の主として海兵出身のOBが1980年から1991年まで述べ131回、時間にして400時間にわたる「海軍反省会」を行い、その録音テープが門外不出として保管されていた。2003年に、旧海軍の主要なメンバーが既に鬼籍に入ったこと、現在に生かすべき教訓があること等を踏まえ公開することとなった。以降反省会の録音をもとに6年に及ぶ取材を経て番組を完成させた。

 テーマーは3つ、

 1、 開戦の経緯
 2、 特攻をやることを誰が、何時から検討始めたのか
 3、 東京裁判に対する旧海軍の対応

 戦争をさせた側に焦点を当てて事実を解明しそこから現代に通じる教訓を明らかにしている。マスコミの良心の欠けらもない朝日新聞と違い良識ある態度で番組を作成している点が好感を持てる。
 上記3点について我々が知らなかったことが明らかにされており歴史ものとしてもおもしろい。一読をお勧めする。

 尚特攻については百田尚樹の「永遠の零」がベストセラーになり読まれた方も多いのではと思いますが、これが空からの特攻に対し海からの特攻いわゆる人間魚雷「回天」にかかわる物語として横山秀夫の「出口のない海」(講談社文庫590円)があります。
 これらを併せ読めば二番目のテーマの非情さがよく理解できると思います。