42期 徒然草 | |||||||||||||||||||||
そのひとこと(一言)が・・・ | 谷口 日出男 | ||||||||||||||||||||
1. ごく最近のこと
2. 若い頃のこと "谷口! あいつ、すっごく怒ってたぜ" しかも奥さんまでが谷口さんってあんな人? と言ってるという。 その夫婦が俺に対して怒りをぶちまけていると友から知らされる。 "なんで?俺は別に何も言ってないよ"というも 友の話では、その夫婦が俺に対して怒っているのは事実だった。 俺は、彼に対してその件で確かめることはしなかったし、彼からも直截その件で俺に話はなかった。 それを限りに彼とは絶縁状態となった。 今でも回復はしてない。歳月を経て、もうお互い通りすがりの他人の関係となった。 そのとき、俺はなんて言ったんだろう・・・ もう40数年の昔のことであれば何を言ったか記憶は定かではない。 ただ軽口な俺のことだからこんなことを云ったのか? "なぁーに、朝夕頑張ればまた次が授かりますよ"と。 その夫婦、生まれてまだひと月もしない子供さんを亡くしたのだ。その慰めの言葉がいけなかったのだ。 しかし、そう言ったかは今では定かではない。 いずれにしろ相手を傷つける一言を言ったのは間違いない。 相手の気持ちを忖度もせず、往々にしてその場で「うけ」を取ろうとそんな言葉を発したのかもしれない。 おのれの醜い性である。 3. 小さい頃のこと
人間、勝手なもので人から受けた温情は往々にして気がつかなかったり忘れたりするものだが逆に、人に与えたそれは意外と意識の底にある。 あいつからまだお礼のことばさえ聞いていないなぁと。 これとは全く真逆に、相手に「ひとこと」言ったのは気にもしてないし、憶えてもいないが 逆に、相手から言われた「ひとこと」は、胸にチクッと突き刺さったままなかなか抜けない。 この頃、年老いてくると直截的な物言いが多くなったように感じる。 決めつけた様なものの言い方とか 上からの目線で相手の弱みを掴んだかのような物言いである。 女房に腹が立ったのと同じように 向こうもまた俺に腹を立ててるだろう。 仕事もまったく終え、それまでのような社会的な付き合い?もなくなり、遊び友達も周りは年寄りいっぱいの仲間となった。 そんな時、年寄り同士の会話、年寄りが年少者に対しての物言い等々、今まで感じなかった小さなトゲがあることを感じる。 しかしそれはギラギラと見えるものでなく投げかけられて初めて気がつくものが多い。 あ~ぁ、俺もこんな物言いをしてんだなぁと仲間の会話を聴いている。 年老いて改めて感じる「ひとこと」の重みか・・・ |