42期 徒然草 | |||||||
一隅を照らす |
谷口 日出男 | ||||||
現役時代、全国を股に掛け、国防の任に邁進した輩たち、折角なじんだ地域の人たちと別れ、家族みんなが不安な気持ちで新しい任地に赴いたあの当時、今思えば懐かしい限りの家族の人生体験である。 そして巡り巡ってあるものは故郷に帰り、実家を継いだりまたはその近くに邸宅を構えた。 しかし同期の大部分は故郷を離れ、新しい地に終の棲家を見つけた。 早いもんでそれぞれがその地に住んでやがて30年近くになるんだろう。 今まで住んだうちで一番長い土地になった。 まったく周りに親戚も知人もない地での新たな人間関係の構築、それぞれに物語が出来ただろう。 そしてやがてはいつの日にかここで老いさらばえ、終焉を迎えることになるんだろう。 先日、隣組の人が亡くなった。享年85歳。代々続くネギ農家の隠居老人である。 コロナ禍の中での葬儀、俺も只今持ち回りの自治委員の役目柄参列した。 その際、町内会の大御所から"谷口っさん、そろそろ老人会にはいって貰えんね?"と問いかけあり。 聞けばどうもなんかそこで役をやって貰いたいような雰囲気である。 遊びに呆けている俺にとっては...丁重に断る。
見開きのページに、デカデカとトップ一面に彼の顔と記事が掲載されていた。穏やかで好い男の顔である。
記事は、活動のスナップ写真とともに次の文が掲載されていた。
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