42期 徒然草 | 谷口 日出男 |
メクラ判 | ||||||
定年後にはいった会社で総務の仕事をやっている時のことである。
いつも部長から、文書はちゃんと目を通してその内容をきちんと把握して報告せよときつく指導を受けていた。ルーズな俺の性格を見通しての温かい指導である。 後日、常務会が開かれ、そこで薬局部門の長が、社長から薬剤師の心情把握に欠けると厳しい指導があったそうだ。それこそ筋違い?の指導であったが社長としては、社内にもしそんな気風があれば是正しなきゃという指導だったかも知れない。 常務会終了後、即、俺は部長から呼びつけられ、それこそ噛みつかんばかりに怒られた。 “なんという仕事振りだ!俺は、社長のところに行く時は、いつも全力で答えられるように、もしそれができないんなら辞める覚悟で行っているんだ。 “この薬剤師は、旦那の異動の関係で辞めるんだし、このレンタルの社員は、家業を継がなきゃならんので已む無く辞めるんだ” 俺のその時の返答が話題になったのだ。あ~ぁ、その時になって初めて反省?
支店長に電話する。葬儀の模様を聞く。報告書に寿命と記されている件は、承知してなかった。メクラ判だったんだ。 「寿命」の欄に二本線を引き、「老衰」と書き加えた。 でも「寿命」と書いた女子社員の心の温かさ?には、何となく気持ちが、なごむなぁ・・・ ★ ★
今年も間もなく師走を迎えようとしている。 寿命から想い出される懐かしいあの時代の、教えの数々である。
ところで、俺の寿命は、いつまでなんだろう ? あれこれ見積もっても、それまであんまり残ってないなぁ・・・
急がなくっちゃ !! 何を?
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コメント | 田中 征之 |
谷口 様 投稿記事を読ませて頂きました。 現役時代も、会社勤めの時も「メクラ判」を押したことも、内容はともかくハンさえもらえばこっちのものと思ったことも多々ありました。 今、思えば汗顔のいたりですが、未だ現役の会社勤めで、「反省をしながら、最善を尽くそうと努力しているのは立派です」文中の「“なんという仕事振りだ!俺は、社長のところに行く時は、いつも全力で答えられるように、もしそれができないんなら辞める覚悟で行っているんだ。」 という言葉は厳しいけれど尤もですね。(本人が常にその覚悟だったかは分かりませんが)私なども「決済を受けに行く時は内容の質問に答えられるよう準備していけ」と言われながら、準備不足のまま行って、不安が顔に出るのでしょうか 鋭い質問を受けて即答できず、「すぐに調べてまた参ります」と引き下がったことも多々有りました。そんなことを思い出します。3度読みましたが、面白かった(含蓄ある)です。後輩にも読ましたい程です。仕事の進め方に参考になる筈です。 |