42期 徒然草
つくばを歩く 山田 和夫




 いつものように筑波山の麓まで車で送ってもらい、山裾を回るように歩いて筑波山の南に連なる宝篋山(ほうきょうざん)を登る。 


 5月とは言え、今日の水戸地方は29度の夏日になるとの予報が出ており、薄日の下ほとんど無風状態のため条件は良くないが、久し振りに大汗をかきながら歩く。


 自転車専用のりんりんロードでは、多くのサイクル愛好者が走っている。筑波山と宝篋山の鞍部にはなだらかな不動峠があって、車が少ないことからツーリングの格好の練習場所にもなっており、今年も6月21日には「ツール・ド・つくば」が計画されているためか、道すがら多くのグループが脇を通り抜けていく。







 約1時間半で平沢官衙(ひらさわかんが)に着く。平沢官衙は、奈良~平安時代にかけての常陸の国の役所跡で、税である米を貯蔵した蔵が3棟復元されており、国の史跡に指定されて歴史公園としてきれいに整備されている。

 関東平野に屹立する筑波山周辺地域は古くから豊かな歴史の展開を見せた地域で、多くの神社仏閣や民話などが残されている。秋のお祭りでは、この芝生で音楽祭のほかに地域の有志による民話劇なども上演されている。






 宝篋山の標高は461メートル、筑波山の871メートルに比べればかなり低いが、筑波山系の南端に位置しているため、霞ケ浦一帯はもとより遠くスカイツリーや東京のビル群、更に晴れた日には富士山もよく見える。

 新春の初日の出は筑波山が有名だが混雑が激しいので、地元の人にとっては宝篋山が穴場スポットだそうだ。山道は良く整備されており、人もそれほど多くないためか、四国のお遍路道によく似た自然味あふれる登山道が残っている。





 田畑が見えなくなって更に登り、6合目ぐらいのところに「宝篋名水」の看板の脇に豊かな沢水が流れ出ている。

 筑波山には沢水がいくつかあるが水が枯れているところが多く、この宝篋名水は筑波神社裏の清水に次ぐ水量があるように思う。顔と首筋を洗い、2~3口飲んでみたところ、癖のないあっさりした水でおいしかった。





 11時半ごろに頂上に着く。頂上には鎌倉時代に建てられたといわれる高さ4メートルほどの宝篋印塔があり、それが山の名前になっている。

 宝篋山の遠景写真では山頂に小さく塔が写っているが、これはテレビ局や国の機関の通信塔で、宝篋印塔は写真に写っている塔の向かって左脇に位置する。

 既に数十人の家族連れなどの登山客がいて、昼の弁当を広げている。

 薄日がさし涼やかな風が吹いてとても気持ちが良い。
 暫し昼食休憩の後、小田城方向に下りて、小田休憩所を経て帰途に就く。

 今日は大相撲夏場所のクライマックス、賜杯の行方を気にしつつテレビを見るために急いで歩いたが、家に着いたのは18時15分、僅かに間に合わなかった。


歩数:54,000歩
距離:40キロメートル
消費カロリー:2,700キロカロリー